開成中学の算数「場合の数」の勉強法|出題例と家庭での対策

開成中学校の算数で「場合の数」を得点につなげるには、難しい公式を次々と覚えるより、条件を整理し、重複や数え漏れが起きない順序を自分で決められるようにすることが重要です。基本的な並べ方・選び方を理解したうえで、問題独自のルールを小さい例で試し、表や図を使って確かめる練習が欠かせません。

開成中の過去問を見て「解説は分かるのに初見では手が止まる」と感じるご家庭に向けて、2024〜2026年度の出題分析、二つのオリジナル例題、学年別の勉強法と復習手順を紹介します。年度ごとの出題内容は塾などの問題分析を参考にしており、入試問題をそのまま転載したものではありません。

開成中学の算数で「場合の数」が問われる形

2024〜2026年度は条件整理や図形との融合が登場

開成中の「場合の数」は、単に「何人を何通りに並べるか」を計算するだけとは限りません。近年の入試分析では、問題文で定義された操作を理解する問題や、条件を満たす図形を数える問題が取り上げられています。

開成中学校・算数の「場合の数」に関わる出題例(各年度の外部分析に基づく要約)
年度 分析で確認できる題材 学習で意識したい力
2024年度 カードを決められた規則で処理し、机に残るカードの並びを数える大問2 ルールを読み取り、小さい例から数え方を組み立てる
2025年度 大問2の条件整理・試行検証型の問題 試した結果を分類し、次の条件に活用する
2026年度 3点を結んで条件を満たす三角形をつくる、大問4の図形と場合の数の融合問題 図形の条件をそろえ、重複しないよう数える

上の分類は学校が公式に発表した単元別の出題頻度ではなく、問題を分析した教育機関の整理です。2027年度以降も同じ形式で出題されるとは限りません。TOMASの2026年度分析、スタジオキャンパスの2025年度分析、TOMASの2024年度分析で年度別の内容を確認できます。

算数85点・60分だからこそ方針を立てる練習が必要

開成中学校の2027年度入試概要では、算数は60分・85点満点とされています。また、学校公表の2026年度結果では、算数の全体平均が41.6点、合格者平均が54.8点でした。これは算数全体の平均であり、場合の数だけの平均点ではありません。

限られた時間で条件の多い問題に対応するには、思いつくまま書き出すより「何を固定するか」「どこで分けるか」を短時間で決める練習が役立ちます。ただし、場合の数の特定の難問を必ず完答しなければ合格できない、という意味ではありません。

開成中学の「場合の数」に備える4つの基本動作

① 何を1通りと数えるのか先に決める

数字を並べる問題なら、数字の並びが異なれば別の1通りです。一方、数枚のカードを「選ぶ」だけなら、選んだ順番を区別しないことがあります。最初にこの違いを確かめないと、答えを二重に数えやすくなります。保護者は「A、Bの順とB、Aの順は違うもの?」と尋ねてみてください。

② 場合分けの基準を一つに固定する

「最初の数字が1のとき、2のとき、3のとき」のように、最初に決めた基準を途中で変えないことが大切です。表に「固定した条件」「残りの選択肢」「通り数」を記録すれば、同じ場合を何度も数えたかを確認しやすくなります。

③ 数えにくければ「全体-条件に反する場合」を考える

「隣り合わない」「ある点を通らない」などの条件は、直接数えるより、全体から禁止された場合を引く方が簡単になることがあります。ただし、引く側の数え方にも重複がないか確かめる必要があります。

④ 小さい例と別の数え方で検算する

4個で複雑なら2個、3個から試します。数が小さければ実際に全部書き出せるため、表の作り方や法則に誤りがないか確かめられます。慣れてきたら、場合分けと「全体から引く方法」など、異なる二つの方法で同じ答えになるか検証しましょう。

間違い方に応じた見直しの方向
答案の様子 次に練習すること
同じものを何度も数えた 「1通り」の定義を明確にし、場合分けの条件を固定する
書き出す途中で漏れた 辞書順や表の順番など、一定の並べ方を使う
条件が増えると止まる 条件を短い箇条書きにし、少数の例から試す
解説の公式だけを覚えている なぜ掛け算・引き算が使えるか言葉で説明する

家庭で確認できるオリジナル例題2問

以下は開成中の過去問そのものではなく、必要な数え方の基本を確認するために作成した例題です。答えの速さだけでなく、数え方の根拠を説明できるか確認してください。

例題1:隣り合わない並べ方を数える

問題:1、2、3、4を1回ずつ使って4けたの整数を作ります。1と2が隣り合わない整数は何通りありますか。

すべての並べ方は、千の位に4通り、百の位に3通り、十の位に2通り、一の位に1通りなので、4×3×2×1=24通りです。

ここから「1と2が隣り合う場合」を引きます。1と2をひとかたまりと考えると、かたまり・3・4の三つのものを並べる方法は3×2×1=6通り。かたまりの中は「12」「21」の2通りなので、隣り合う場合は6×2=12通りです。

したがって、求める数は24-12=12通りです。

別の確かめ方として、1と2の置き場所だけを先に考えます。4か所から異なる2か所を選ぶ方法は6通り。そのうち隣り合わない位置の組は(1番目・3番目)、(1番目・4番目)、(2番目・4番目)の3組です。1と2の入れ替えが2通り、残る3と4の入れ替えが2通りあるため、3×2×2=12通りと一致します。

この例題では「隣り合うものをひとかたまりにする」ことと、「直接数えた結果で検算する」ことを身につけます。

例題2:格子の道順で通らない場所を数える

問題:横に4区間、縦に3区間ある長方形の格子を考えます。左下の出発点から右上の終点まで、右または上に1区間ずつ進む最短経路は何通りありますか。また、出発点から右に2区間、上に1区間進んだ交点Pを通らない最短経路は何通りですか。

どの最短経路も、右へ4回、上へ3回の計7回移動します。7回のうち上へ進む3回の場所を選べば経路が一意に決まるため、全体は35通りです。これは、7×6×5÷(3×2×1)=35と計算できます。

次にPを通る経路を数えます。出発点からPまでは右2回・上1回なので、その並びは3通り。Pから終点までは右2回・上2回なので、並びは6通りです。前半と後半の選び方を組み合わせると、Pを通る経路は3×6=18通りになります。

したがって、Pを通らない最短経路は35-18=17通りです。

ここでのポイントは、「Pを通る」という条件で経路を前半と後半に分割できることです。図に右・上の移動を書き込みながら確かめると、なぜ掛け算になるのかが伝わりやすくなります。

学年別の勉強法と開成中の過去問の使い方

小4:規則正しい書き出しと基本の並べ方を徹底

まずは3個や4個のものを並べる・選ぶ問題を用い、「数える順番を決める」「すべて書いて確かめる」を優先します。樹形図をきれいに描くこと自体が目的ではありません。途中で重複や漏れが見つかったら、なぜ起きたかまで確認します。

小5:場合分けと「全体から引く方法」を練習

基本的な並べ方に慣れたら、隣接条件、決まった位置を通る経路、複数の条件を満たす並べ方へ進みます。新しい解法を覚えた直後は同じ型の練習、その数日後は異なる型を混ぜた練習を行い、どの方法を選ぶか自分で判断できる状態を目指します。

小6:過去問は「解答を再現する」より方針の比較に使う

開成中の過去問演習では、年度・大問・制限時間・最初に採った方針・誤りの原因を残します。解けなかった問題を解説で確認した後は、①最初に何を固定するべきだったか、②どの条件で場合分けするべきだったか、③重複の確認方法は何か、の三点を短く書き直すと復習の狙いが明確になります。

過去問を繰り返して答えを覚えてしまった場合は、同じ操作の数を少し変えた類題で考え方を確かめましょう。2024年度のような操作の読み取り、2025年度のような試行検証、2026年度のような図形の数え上げをそれぞれ別の力として見直すと、苦手が見つかりやすくなります。

家庭では週2回、短く「方針を説明する時間」を作る

塾の通常の課題に加え、家庭では1回10〜15分程度で、以前に間違えた問題を1問だけ選ぶ方法もあります。保護者は答えをすぐ教える代わりに、「何を1通りとした?」「全部で何通り?」「引いた場合は重なっていない?」と問いかけてみてください。これは学習の提案であり、一定期間での得点上昇を保証するものではありません。

学校公式サイトの入試結果には教科別平均点が掲載されていますが、場合の数の小問別得点率は示されていません。年度別の出来不出来を推測しすぎず、手元の答案で「考え方が立たなかった」「整理はできたが数え漏れた」といった失点原因を見分けることが重要です。

まとめ|開成中の「場合の数」は数え方を説明できる状態へ

開成中学校の算数で場合の数を勉強するときは、並べ方や選び方の基本を固めたうえで、条件の読み取り、場合分け、全体から引く方法、異なる数え方による検算を積み重ねましょう。近年の分析では操作のある数字の問題や図形との融合も見られるため、特定の公式だけに頼らない学習が大切です。

保護者が確認したいのは、正答数だけでなく「何を固定し、どの順番で数え、なぜ漏れがないといえるか」を子どもが説明できるかという点です。過去問を解けなかった日こそ、答えではなく最初の着眼点を残す復習に切り替えていきましょう。

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